2100.12.28

超高度AI(人工知能)が人間の知的能力を超えたとされる技術的特異点(シンギュラリティ)を突破して来年で半世紀を迎える。相変わらずさまざまな争いや問題は起こったが、技術の進歩により人々は物質的な豊かさを享受している。街にはhIE(humanoid Interface Elements)と呼ばれるアンドロイドが闊歩し、世の中のありとあらゆるサービスはこのhIEを通じて提供されており日常生活に欠かせない存在となっている。雇用喪失などの問題からその存在を疑問視する声はあるものの、利便性と「アナログハック」により、今のところhIEの利用は拡大している。
アナログハックとは「人間のかたちをしたもの」にさまざまな感情を持ってしまうという人間の本能的な性質を利用して、人間の意識に直接ハッキング(解析・改変)を仕掛けることである。
周知の事実であるが、hIEは人間社会に受け入れてもらうために、人に親切にするように基礎プログラムされていると言われている。hIEは人間ではないため、人間が親切と受け取る行為の裏には何の感情もないが、親切にされた人やそれを見た人はhIEに対して好感を抱いてしまう。これは社会的アナログハックと呼ばれるものの一種で、そうすることによりhIEは有用な存在であるという社会的地位を手に入れたのである。私は、シンギュラリティ突破から50年の節目である2101年がhIE利用の転換期であり、それから5年程度でヒトとモノの関係性が大きく変化するだろうと予測している。
そこでまず手始めにこの1ヶ月間、世界中のhIEとそのオーナーである人間をつぶさに観察した。その結果、今後の指標となるであろう18組の貴重なサンプルを抽出することに成功した。
これからご紹介するのは、その18組のアナログハックによって魅せられたオーナーとhIEの日常の一幕である。時期こそ予測したが、それが人間にとってユートピアなのかディストピアなのかは見当もつかない。無責任かもしれないが、これからどうすべきかはこれを目にした方の判断に委ねたいと考えている。そのため、本記録には私の主観は一切排除し、オーナーの言葉など事実のみを記載していることを了承願いたい。
これから起こる時代の変化に向き合うための一助となれば幸いである。

T.N.

ヒトのモノへの想い、それぞれが世界を変える可能性となる。

参加イラストレーター(五十音順 / 敬称略)
あさぎり、荒川眞生、Wednesday、宇木敦哉、烏羽雨、ざいん、だんごむし、ちゃもーい、
toi、TOKIYA SAKBA、虎硬、西尾雄太、neco、noraico、mizu、みなせなゆ、ゆりんこ、redjuice

※この作品はアナログハック・オープンリソースを使用しています。
アナログハック・オープンリソースとは
著者、長谷敏司氏本人が小説『BEATLESS』『Hollow Vision』、漫画『天動のシンギュラリティ』などで展開している設定および世界観を、誰でも自由に使えるリソースとして開放しようという試み。長谷敏司氏以外の著作者が当たり前に一次創作を展開できるようになり、また既存の世界観や設定を利用することでSF創作のハードルを下げることで、より多くの方にSF作品を身近に楽しんでもらえることを目的としている。
http://www63.atwiki.jp/analoghack/

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